解決事例(相続・遺産分割)
ご相談者は、祖父の代から名義変更をしていない不動産の相続人の一人であったところ、同じく相続人の叔母の代理人弁護士から、上記の相続不動産の分割協議のため、遺産分割調停を起こすとの通知を受領したため、対応方法についてご相談に来られました。
なお、ご相談者は、過去のいきさつで叔母には法定相続分がないのではないかと考えられていました。
ご相談者の依頼で、当職がご相談者の代理人として叔母の代理人弁護士と連絡を取り合うとともに、叔母に相続分がないという点についても、相談者や関係機関への問い合わせを通して事実関係を確認していきました。
事実関係の確認を通し、叔母に法定相続分がないという主張は通りがたいという結論に達したため、ご相談者にもこの点を説明し、叔母の法定相続分を認める前提で、あとは相続不動産の分割方法を決めていくという方針で交渉を続けることとなりました。
その結果、不動産仲介会社を通じて、相続不動産を買い取りたいという会社が見つかったため、当該会社に不動産を売却し、売却金額を各相続人が法定相続分に従って分配するという内容で遺産分割協議が成立することとなりました。
ご相談者の叔母が亡くなり、生前に身の回りのお世話をされていたご依頼者が叔母の遺産を受け継ぐため、叔母の相続人全員からご相談者が遺産を受け継ぐことについての同意書を取り付けたいとのご相談でした。
しかし、叔母が養子縁組をしていたことなどから、相続人が叔母のいとこまで広がってしまっており、相続人が何人いるかも分からないというご状況でした。
なお、叔母の遺産には、不動産のほか、預金がありました。
まずは弁護士から相談者に、相続人の範囲を確定させることが必要となること、そのために戸籍をたどっていく必要があることをご説明しました。
戸籍を収集し、相続人関係図を作成することをまずはご依頼いただいたところ、相続人が30名に及ぶことが判明しました。
その後、ご依頼者を除く他の29名の相続人に対して、ご依頼者に相続分を譲渡するとの同意書を取り付けられるよう交渉を行い、4か月ほどかけて、他の相続人全員から相続分を譲渡するとの同意書を取り付けることができました。これにより、叔母の不動産について、ご依頼者名義への移転登記が行えたほか、叔母の預金口座の払い戻しもご依頼者が行うことが可能となりました。
事案の概要
相談者(Aさん)の母親が亡くなったところ、母親は遺言で自宅不動産についてAさんの妹(B氏)に相続させるという公正証書遺言を残していました。しかし、AさんとB氏の間では、遺言の内容に関わらず、全ての遺産を姉妹で2分の1ずつ分割する前提で遺産分割協議を進めていました。そのため、AさんとB氏は、相続財産の一部である預貯金(約2200万円分)を2分の1ずつ分配しました。
しかし、その後、B氏は、上記の公正証書遺言を使い、Aさんに無断でB氏名義に母親の不動産の所有権移転登記を行いました。
Aさんは今後どのように対応したらいいのか弊所に相談されました。
解決の内容
遺産分割調停の申し立てをし、調停の場で、半年間ほど審理を重ねた結果、AさんとB氏との間で分配済みとなっていた預貯金2200万円分については、そのままAさんが1100万円、B氏が1100万円を受領することで合意したうえで、未分割であった遺産(総額約350万円)についてはほぼすべてをAさんが相続することに加え、約650万円の解決金をB氏からAさんに支払ってもらうことを条件に、B氏が遺言で移転登記を行っていた不動産(時価5500万円)についてはB氏の単独所有とすること等を内容とした調停合意が成立しました。
解決のポイント
本件はAさんとB氏の協議により全ての遺産を2分の1ずつ分割するつもりで、遺産の一部である2200万円分の預貯金について、B氏が1100万円を受領してしまった後に、不動産の分割方法等に争いが生じ、B氏が遺言を使用して不動産の移転登記を行ってしまったため、既にB氏の手にわたっていた預貯金1100万円の返還をAさんが請求できるのかといった点等が争点となりました。
こうした点について、時間をかけて訴訟手続きで争うことも検討しましたが、Aさんとも協議した結果、Aさんも紛争が長期化することは望ましくないと考えたことや、B氏も一定の歩み寄りを見せたことなどから、調停申し立てから6か月ほどで上記の内容での和解による解決が成立しました。
事案の概要
相談者の母親が亡くなり、相続人は相談者のみでした。母親には未払いの負債があるほか、不動産を所有しているようでしたので、相続した方が良いのか、相続放棄をした方が良いのかを弊所に相談されました。
解決の内容
調査の結果、不動産を相続し、売却することで得られる金額が債務額を上回ったため、相談者は相続されることを選択されました。
相続した不動産については、売却に関しても弊所弁護士が代理人となり、買主候補と交渉をし、売買契約が成立しました。
解決のポイント
相談の当初、相談者は相続放棄をお考えでしたが、遺産の中に不動産があったため、売却価格次第では負債を相続しても収支がプラスになる可能性があるのではないかと判断しました。
その後、弊所が提携する不動産会社に上記不動産の簡易査定を依頼した結果、ある程度の価格で売れることの見通しがついたため、買主候補との間で売却交渉を行った結果、負債を上回る金額で売却ができました。
相続放棄を行うにあたっては、一定の期間内に放棄をするか、相続をするかを決めなければならないため、早めに遺産と負債の総額の目途をつけることがポイントと言えます。